episode1 ギャンブルとの出会い【ブラックリストに入るまで】
高校は進学校、大学は国公立。このまま僕は普通で平凡な人生を歩むはずだった。
大学入学までは…
大学に入学すると、たくさんの友達ができた。育ってきた環境が違い、価値観も違い色々な刺激をもらうことができた。
入学から1ヶ月ほどが経ち、普段遊ぶメンバーも固定されてきた。
【メンバー紹介】
・のぐお…中高サッカー部が同じ。僕と同レベルの実力のため、ベンチ、ベンチ外、フェンス越し、常に一緒だった親友。どんな場所でもおならとゲップをしてしまうのが嫌いなところ。本当にやめて欲しい。
・のっぽ…同じ中学のサッカー部のキャプテン。身長187.5。隣にいると自分がチビに見られる。やめて欲しい。
・としくん…大学の部活が同じで友達になった。実家はお寺。お金持ち。親にお願いするとお金が振り込まれる。やめて欲しい。
・ばーばくん…大学で知り合った友達。実家はそこそこ有名なうなぎ屋さん。お金持ち。僕よりバイトしてないのに常に僕より金を持っている。やめて欲しい。
僕たちは地方から集まってきたため、全員一人暮らしをしていた。夜遅くまで誰かの家でゲームをしたり、タコパをしたり。まさに思い描いていた楽しい大学生活だ。
ある日、みんなで映画を見に行くことになった。しかし上映時間まで1時間くらい時間が空いてしまった。すると、としくんが「スロットやろーよ!」と言い、映画館の隣にあるパチンコ屋に行くことになった。
「ジャグラーはすごいんだよねぇ」としくんはそう言うと、財布から千円札を取り出し機械の中に入れた。すると横の機械からメダルがいっぱい出てきた。
「3枚で一回、回せるんだ」そういうと、としくんはメダルをスロットの機会に入れ、レバーを叩き、ボタンを押し始めた。
その様子を見ていたが、これの何が楽しいのか全くわからなかった。
しばらくすると
ペカっ!!!
脳を直接刺激するような、脳が震えるような、汁が出るような、とりあえず体に良くない音が聞こえ、GOGOランプが青く光った。
「当たったわ」としくんは嬉しそうにそう言った。すると、次はメダルを2枚入れレバーを叩いた。何かを逃さないように見張っているような目つきで、回転する7を揃え出した。そして、7が3つ揃い愉快な音楽と共に、メダルが大量に出てきた。
としくんはその当たりでやめ、換金しに行った。するとなんということか、千円が六千円に変わっていた。
「ね、簡単なお仕事でしょ」としくんはそう言って、僕たちに飲み物を奢ってくれた。それはもうカッコよく神様にさえ見えた。
簡単なお仕事か…
これが僕とギャンブルの出会いだった。
僕が現在の姿になったのはとしくんのせいだ。そう思いこんでいるが、ここでギャンブルに出会わなくてもいつか出会っていたのだろう。そんなの知っている。
ギャンブルは楽しいのだから。
次回 ビギナーズラック